天 麻

 天麻(てんま)は山野や林内に生える多年草。草丈が60〜100cmに達する大型のらん科植物です。葉緑素を持たない腐生ランの一種で、ナラタケの菌糸と共生します。根茎を干したものを生薬として使用します。
 河陽花月では佐賀県天山の自社畑で栽培。日本では初めて、人工栽培に成功しました。

和 名オニノヤガラ(鬼矢柄)
学 名Gastrodia elata Blume 
科 名らん科  Orchidaceae
属 名オニノヤガラ属 Gastrodia R. Br.   
別 名ヌスビトノアシ
生薬名天麻(てんま)

和名「オニノヤガラ」は、茎を鬼の使用する矢にたとえたもの。

分布地域と生育環境

 アジアでは中国・台湾・韓国に分布。日本では北海道・本州・四国・九州に分布し、山地の樹林下や湿原に自生する。

特 徴

 腐生植物。葉緑素を持たないので、光合成を行わない。地中にある塊茎は長さ10cm前後の楕円形で、表面には多くの節がある。茎は黄褐色で直立し、高さは40cmから100cm程度になる。円柱状の茎に膜質の鱗片葉をまばらにつける。花期は6月から7月、黄褐色の花を茎の先端に20〜50個総状につけ、下方から順に開花していく。 花は3萼片(外花被片)が合着して壷状になり、中に2個の側花弁と卵状長楕円形の唇弁がある。

『漢方古書』にある天麻の記載

 “天麻は東洋で3000年前から使われている貴重な生薬。漢方では地中の塊茎を高血圧、脳卒中、不眠症、驚風、頭痛、めまい、中風、神経性疾患の予防と治療用に利用する。また、糖尿病などの生活習慣病の予防、肝機能の促進、 疲れ・ストレスの解消、学習能力や記憶力の増加にも効果がある。特に中風(脳血管障害の後遺症)など、脳神経系統の薬草では最高位とした。正風草、赤根、鬼督、難母、神草という名前でも呼ばれる。”

成 分

 根茎にバニリルアルコール、バニリン、ガストロジン、ガストロジオシドなどを含む。
 gastrodin、Ergothioneine、Vanillyl alcohol、4-hydroxybenzyl-alcohol、β-sitosterol、daucosterol、citric acid、methyl ether、palmitic acid、sucrose、4.4′-dihydroxypenylmethane、4.4dihydroxydibenzylether、4-ethoxymethylphenyl、3.4-dihydroxybenzaldehyde、4ethoxymethylphenyl-4′-hydroxybenzylether

漢方処方例

 沈香天麻湯、半夏白朮天麻湯、天麻丸、 加味天麻湯、 枸杞天麻湯、 追風去痰丸、香保命丹、 神仙解語丹

栽培について

栽培地佐賀県
栽培方法地中埋没段木栽培法 露地栽培
栽培品種オニノヤガラ Gastrodia elata Blume(下位品種アオテンマ包含) 
植栽種菌ナラタケ属の菌糸 (Armillaria属 tabescens菌株)
種菌培養種菌 2,000個を製造して26℃から60日間培養後使用
使用原木クヌギ(佐賀県内から伐木/60cmのもの8,000本)
植栽種いもオニノヤガラの有性繁殖の種いも
収穫の様子
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